わ行
■オニイグチ(写真をクリックすると写真が拡大されます)Photo by Hanagasa
オニイグチ科オニイグチ属S. strobilaceus (Scop.: Fr. ) Berk.
 あまりにも変わってるというべきか、いかつい風貌というべきか、数多いイグチの仲間でもオニイグチのインパクトは群を抜く。まるで鎧をまとっているようなこのキノコを、持ち帰ろうとする人は少ないと思う。仮に手にしてもその特性に触れた時、おそらく食べようとは思わないだろう。夏から秋、松のまじる広葉樹林や雑木林に発生する。かなり人家のそばの林、里山といったところでも良く見かける、いちおうポピュラータイプと言えるだろう。私の自宅は東京のベットタウンの近くにあるのだが、駅から徒歩十分ぐらの大きなニュータウンの一角には、まだ林も残っている。通勤、通学路が武蔵野のなごりを残す、雑木林をくぐり抜けているなんてふぜいがあるが、この道沿いに良くオニイグチがでるのである。そのことが私てきにどう困るのか?他人が採っていくから?いえいえそうではありません。大自然の素晴らしい送りものを、ひとりじめしょうとは思わないが、蹴飛ばされ、踏みつけられてしまうのです。それがいつもかわいそうで、もったいなくて、ときに傷みの少ないものは持ち帰ったりするのだが、どうもオニイグチは敵役のキャラクターなのかも知れない。傘の径3〜13cm、丸山形から扁平に開く、表面は灰白色で黒褐色の鱗片におおわれる。傘うらの管孔ははじめ白色、のち黒褐色。茎は5〜15cm、傘と同色で根本は黒褐色、ササクレがある。傷つくと赤変のち黒変、傷みがはやいので採ったらスピーディに扱うべきである。オニイグチは虫もはいりやすいので、傷みのチェックもかねて、まずいくつかに切って塩水に晒す。このとき水は墨でもながしたように真っ黒になる。これを見て食欲がなくなる人もあるだろうが、そんな場合はイカ墨料理を連想して頂きたい。見ためがだめでもおいしい食べ物はたくさんあるのです。オニイグチはとてもコクのあるキノコで、その特徴を生かす工夫を考えて見よう。舌ざわりの良さも抜群で、風味ぬきでも十分活用できるキノコだが、保存法としては、乾燥保存すればより完璧だろう。しかし塩漬けにしてダシが抜けても、利用価値の高いキノコなのである。人は見かけでわからないというが、オニイグチもそうしたタイプなのだ。このキノコをみかけたならば、ぜひじっくりとつきあっていただきたい。(料理法保存方法は多野亮先生のご指導を得ています。)